
高知で「モネの庭」がみれるってホント!?
「睡蓮」の連作で知られる印象派の巨匠、クロード・モネ。
彼は自宅の庭を自らデザインし、その風景を愛しみながら「睡蓮」や「日本の橋」など、数々の名作を描き続けました。
そんな“モネの庭”を、日本で体験できる場所があるのをご存知でしょうか?
それが、高知県安芸郡北川村にある《北川村「モネの庭」マルモッタン》。
フランス・ジヴェルニーにある本家の庭園を忠実に再現した、世界で唯一“モネの名”を正式に冠することを許された庭園です。

造園には、ジヴェルニー庭園の元管理責任者・ジルベール・ヴァエ(Gilbert Vahé)氏が全面協力。
太鼓橋のかかる池には、青い睡蓮が優雅に浮かび、四季の花々が彩る風景は、まるで絵画の中に入り込んだかのよう。
自然豊かな北川村だからこそ実現できた、スケール感と落ち着いた雰囲気がポイント。
高知を訪れた際にはぜひ訪れてほしいアートスポットです!
そもそも「モネの庭」って何?
印象派を代表する画家、クロード・モネ。
彼が1883年に移り住んだのが、パリから北西にある静かな村「ジヴェルニー」でした。
この地でモネは、《積みわら》シリーズや《睡蓮》など、後に世界中で愛される名作を次々と生み出していきます。

庭づくりが趣味だった?
モネはこんな言葉を残しています。
「私は絵を描くことと庭をつくること以外、何の取り柄もないんです。」
出典:Denver Art Museum「20 Quotes from Claude Monet」(https://www.denverartmuseum.org/en/blog/20-quotes-claude-monet?utm_source=chatgpt.com)
そう、絵を描くのと同じくらい、モネは庭づくりにも情熱を注いでいたのです。
まず彼は、自宅の前に色とりどりの草花が咲く「花の庭」をつくり、
その後1893年には、敷地を拡張して水を引き入れ、
有名な「睡蓮の池」=「水の庭」を自らの手で築いていきました。
この庭で描かれた「睡蓮」の連作シリーズはあまりにも有名ですものね。
この「モネの庭」が公式認可の下で唯一再現されたのが、北川村の「モネの庭」なのです。

北川村「モネの庭」マルモッタン

高知市の中心部から、車でおよそ1時間半。
東へ60kmほど行った先にあるのが、北川村「モネの庭」マルモッタンです。
この庭園がある高知県安芸郡・北川村は、1990年代、村おこしの一環として特産の柚子を使ったワイン事業を計画していました。
しかしバブル崩壊の影響で、その構想は途中で頓挫……。
そこで浮上したのが、新たな希望となる「モネの庭」の構想でした。
村の担当者は何度もフランス・ジヴェルニーに足を運び、本家「モネの庭」の関係者との信頼関係を築いていきます。
その結果――
2000年、「北川村『モネの庭』マルモッタン」が、世界で唯一の“公式モネの庭”として誕生したのです。
「水の庭」の太鼓橋と睡蓮
北川村の「モネの庭」は本家を再現したものであるものの、“再現”という言葉では足りないほどの本格ぶりです。
というのも、本場ジヴェルニーの「モネの庭」から、元管理責任者が数年ごとに現地を訪れ、
「モネの精神がちゃんと受け継がれているか」をチェックしているんです。
そのこだわりは、庭の細部にまで行き渡っています。

たとえば「水の庭」にかかる太鼓橋。
モネが愛した日本の浮世絵にちなんで、自らの庭に「日本風の橋」をかけたというのは有名な話ですよね。
北川村の庭でも、その橋は忠実に再現されています。
鮮やかなグリーンのアーチ橋が、周囲の緑と調和していてとても美しいです。

そして見逃せないのが、池に浮かぶ本物の睡蓮たち。
ここで育っている睡蓮の一部は、本家「モネの庭」から株分けされたものなんだとか。
中でも注目は、「青い睡蓮」。
これは熱帯性の品種で、ジヴェルニーでは気候的に育たなかった種類です。
モネも温室で栽培に挑戦したそうですが、残念ながら開花には至らなかったとか。
だからこそ、ここ北川村で咲く「青い睡蓮」は、本場にもない特別な存在。
水面から首を出して開花する姿は可愛らしくもある一方、どこか神秘的な雰囲気を醸し出しています。
🗓️ 見ごろは7月から10月下旬ごろまで。
なお、午後には花が閉じてしまうので、鑑賞は午前中がおすすめです!
「花の庭」

「水の庭」から駐車場を挟んだ向かい側にあるのが、「花の庭」。
ここでは季節ごとに、さまざまな花々が出迎えてくれます。
たとえば春から初夏にかけては、200種・約500本のバラが咲き誇り、まさに夢のような景色に。
時期を変えて何度でも訪れたくなる場所です。

「ボルディゲラの庭」――北川村ならではの風景

「水の庭」「花の庭」がジヴェルニーの再現であるのに対して、
こちらの「ボルディゲラの庭」は北川村オリジナルのエリア。
「ボルディゲラ」とは、モネが1883〜1884年にかけて訪れたイタリア・地中海沿岸の町。
その風景に魅せられた彼は、30点以上の作品を描いたといいます。
北川村では、その風景のイメージを再現すべく、起伏のある地形を活かして
オリーブやヤシなど、地中海の植物をふんだんに植栽。
高知の温暖な気候と太平洋に面した地形も相まって、
まるで南フランスやイタリアのような、開放的な雰囲気が広がっています。

まとめ

「私は絵を描くことと庭をつくること以外、何の取り柄もないんです。」
クロード・モネは、風景を描くだけでなく、自らの手で庭を“創り”、そこに絵筆を向けた芸術家でした。
その精神を受け継ぐ「北川村『モネの庭』マルモッタン」は、本家ジヴェルニーを除いて、世界でただ一つ“モネの庭”を名乗ることが許された庭園です。
そしてここでは、単なる再現にとどまらず、北川村ならではの風土や光に寄り添いながら、「青い睡蓮」や「ボルディゲラの庭」といった、オリジナルにはない魅力も育まれています。
忙しい日常を少し離れて、モネが愛した光と色に包まれる時間。
そんな心豊かなひとときを、ぜひ体験してみてください。

北川村モネの庭マルモッタンの基本情報
所在地:高知県安芸郡北川村野友甲1100番地
アクセス | 最寄り駅なし。 詳しいアクセス方法→公式webサイト |
料金 | 一般:1,000円 小中学生:500円 小学生未満:無料 団体(20名以上)一般:900円/小中学生:450円 |
開園時間 | 9:00~17:00(最終入園 16:30) |
休園日 | 6月~10月の第1水曜日、12月1日~2月末日 公式webサイトに開園日カレンダーあり |
🔍アクセスの良い宿泊施設をお探しの方は、以下リンクをご覧ください。
▶国内・海外ホテル格安予約のアゴダ
周辺の見どころ
「中岡慎太郎生家」

「北川村『モネの庭』マルモッタン」から車で北東へ約7分。
小高い山あいに佇むのが、「中岡慎太郎生家」です。
中岡慎太郎といえば、薩長同盟の成立に奔走し、坂本龍馬とともに幕末を駆け抜けた志士。
近江屋で龍馬と共に暗殺されたという悲劇の最期は、あまりにも有名ですね。
ここ北川村は、そんな慎太郎のふるさと。
現在の建物は、明治40年の台風で流されてしまったものの、昭和42年に関係者の証言をもとに復元されました。
建物の中には豪華な展示はありませんが、かえってその素朴さが魅力。
縁側に座って山々の緑を眺めていると、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような気分になります。
旅の途中、少しだけ歴史に触れてみたい――そんな方にぴったりの場所です。
「中岡慎太郎生家」の所在地:高知県安芸郡北川村柏木494
赤岡町「絵金祭り」

もし「モネの庭」に行くなら、7月もおすすめ。
というのも、「青い睡蓮」が見ごろを迎えるこの時期、高知ではもうひとつ見逃せないイベントがあるんです。
それが、香南市赤岡町で開催される「絵金祭り」。
毎年7月第3土・日曜日の夕方になると、赤岡の古い町並みの軒先に、芝居絵屏風がずらりと飾られます。
そして灯されるのは、やわらかな蝋燭のあかり。
その光に照らし出された芝居絵は、まるで命を宿したように浮かび上がり、どこか妖しくも美しい空気に包まれます。
江戸時代から続く土佐独自のこのお祭り。
モネの幻想的な庭を堪能したあとに訪れると、また違った“絵”の世界が楽しめますよ。
「モネの庭」と「絵金祭り」――どちらも“光と色”の芸術。
旅のプランに、ぜひ両方組み込んでみてください!
「絵金祭り」の記事はこちらからどうぞ!

コメント